第1章 ハイキュー!!音駒
特徴的な寝癖頭が隠れきれてないんだよ、惜しかったな。
「……筑流、これは俺たちなりの気遣いってヤツでだな」
「言い訳なら後でじっくり聞いてやる。研磨くんも夜久も待たせて悪かったな、ほら帰ろうぜ」
「いや、お疲れ秋月…その、大変だったな」
「夜久…明日から躾は厳しく頼む。期待してるからシクヨロ」
「そういうことなら任せろ」
「研磨くん、クロなんかに付き合わないで先帰ってよかったんだぞ」
「……べつに、ちょうどお腹へってたし…アップルパイ食べたかったから」
「そっか。うまかった?」
「……まあまあ、かな」
そこそこ満足そうな研磨くんの頭を撫でると、灰羽姉弟に気づかれる前にさっさとその場を後にして。
オレがクロの首を絞めるのを夜久が止めに入ったりしながら、のんびりみんな一緒に駅へ向かった。
「なあ秋月。黒尾のやつ、あのライン見てから店に着くまですげー心配してたんだぞ…そこんとこ、ちゃんと考えてやれよな」
「…どうせ店で状況把握したら、すぐに面白がって見物に回ったんだろ?」
「さすが、よくわかってんな」
「付き合いだけは長いですからー」
「まぁでも、な?わかってんだろ」
「ラインの返事を忘れるほど焦って駆けつけてくれたんだろ?わかってるよ」
「ならいい、じゃあまた明日な」
「ああ。夜久もありがとうな」
「おう!あんま心配かけんなよっ」
そんな会話をしてから男前オーラが眩しい夜っ久んは、少し離れた場所でゲームをしている研磨くんと見守る保護者なクロに挨拶をして帰っていった。
後は家が近所な三人きり。
最寄り駅で降りると、暗かったり明るかったりする夜道を静かに歩く。
「……そういえばツクル…最後、リエーフになんて言ったの?…うるさく叫んでたけど」
「あー、アレなー………言わなきゃ駄目?」
「駄目じゃないけど、気になる」
「じゃあ言うけど、引くなよ?」
「お前、そんな前フリが必要なほど引くこと言ったのか?」
「黙れ鉄朗」