第2章 ミケとミケと気になるあの人
「あ~、でも、カリンちょっと寂しいんじゃない?」
ミケ猫君大分懐いてるしね。
とナナバが言えば、
「いつでも会いに来ればいい」
すかさずそう答えるミケ。
(お!結構大胆…)という顔をしたのは誰であっただろうか。
「はい、では時々…お邪魔してもよいでしょうか?」
「好きな時に来い」
昼間はぶらついているだろうがな、と言いながら不思議な形の尻尾をつつく。
首輪?それともリボンにする?
スカーフも可愛いかも!
猫のおもちゃってさ、どこに売ってたっけか?
皆はまた楽しげに輪を作る。
そんな輪を、少し離れて見る人物。
視線はそのままに、隣の上司へ呟いた。
「まぁ、それにしても…いろいろと先越され気味だね」
言い終えると、ナナバは何やら楽しげにミケを見る。
その表情を言葉にするなら"にやにや"だろう。
「……」
渋い顔でミケ猫を見るミケ。
「一緒にお風呂に入ったし、胸に顔埋めてたし、秘密の"お話し"もしてるみたいだし?」
「……っ」
(……猫だ。猫相手に、遅れなど取るものか)
こうして、カリンはミケ猫と秘密を交わし、ミケの前にはミケがライバルとして現われる。
ミケの逞しい腕の中、ミケ猫がほくそ笑んでいたのは誰も知らない。