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たまには。

第1章 たまには。


私の彼氏、鬼龍紅郎くんはいわゆる兼業でお仕事をしています。普段は芸能人として、その合間にはデザイナーとしてお仕事をしています。
私は近所のカフェのキッチンでお仕事をしています。仕事に行くまでは家のことを一通りして、終わってからは夕飯の買い物をしながら帰っています。

「ふぅ、ただいま」

家に着いたら買ってきたものを急いでキッチンに持って行かなきゃならないのに、誰もいない家につい挨拶してしまう。
キッチンの冷蔵庫に入れるべきものを入れて、手洗いうがいを済ませてから夕飯の支度に取り掛かる。今日はようやく衣装の納期も終わって、アイドルの仕事が終われば帰れると聞いているから今晩は紅郎くんの好きなものを作ってあげようと思っている。最近仕事が忙しくて、一緒に住んで巻いてもすれ違っていたから久しぶりに会えるのが楽しみで…

「あれ?」

不意にキッチンのカウンターから見えるリビングのテーブルの下に何かあるのが見えた。何かと思って、リビングに行ってみると、案の定そこにいたのは寝こけている紅郎くんだった。テレビや雑誌でみるような硬派なカッコ良さはなく、久しぶりに見た紅郎くんはあどけない寝顔だった。

「おかえりなさい。ちょっと待っててね、今からご飯作るね」

ヘアワックスで整えられた髪を撫でてから、寝室に行ってタオルケットを持ってきて紅郎くんにかけてあげてから、私はキッチンに戻って作業を始めた。
作業に集中してからどれだけ経ったかな。夕飯のお肉料理は豚の角煮と玉ねぎのお味噌汁、ポテトサラダと白ご飯。だいたい出来上がりが見えてきて、もう一度リビングの方を見るとまだ紅郎くんは寝ていた。
夕飯は温めれば大丈夫だから、先にお風呂の用意も済ませてしまおう。掃除は朝のうちに終わってるから湯沸かしのスイッチを入れるだけなんだけどね。

「あとは…」

食器の準備もして、飲み物も用意して、お風呂ももう沸いている。とうとう紅郎くんを起こすしかなくなってしまった。寝顔を見ると起こすのは可哀想な気がして仕方がない。でも、起こさないとお話しもできないし、せっかく作った夕飯を1人で食べるよりせめて一口でも食べてもらいたくて意を決した。
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