第4章 禁じられた2人
「月島君も本当はそう思ってたりして。いつだって散々バカにしてきたし、邪魔されたし。ねえ?」
彼女に揶揄されて、言葉に詰まる。
所謂嫉妬という感情を八つ当たり気味に、彼女へとぶつけた。
以前から少しいいな、と思っていた。
同じクラスで、一学期の間は同じ班だったこともある彼女のことを、本当にほんの少しだけいいな、と思っていたのだ。
同年代の女子みたいにうるさいわけでもガサツなわけでもない。
とはいえ、彼女自身は根暗なわけでも友達が居ないわけでもない。
社交的な性格ではない彼女なのに、彼女の周りにはいつも誰かが居て、それは人を惹きつける彼女の性格故に他ならない。
同年代の女子たちにはない落ち着いた彼女の、ふわりとした彼女の雰囲気を僕は好きになった。
だから僕は彼女に好意に近い興味を向けた。
いいな、と思ったことも否定しない。
でもいいな、というのはその時点の感情では決して恋愛の『好き』ではなかったように思う。
「だから悪かったって、散々謝ってるデショ。しつこいよねお前も。ホント、引きずるタイプなわけ?」
「そうだよ。だからこの先も、ずっと言い続けるからね」
そう言うと彼女はまた僕の気に入らない笑顔を作った。
彼女自身自分を皮肉るような冷めた笑み。
感情に捲かせて彼女へと罵った過去の罪に苛まれた僕はその顔を見ていられなくて、目を逸らした。
「、、どうすれば許してくれるのさ。言っとくけど一生根に持たれるとか、ホント勘弁だから」
「ん~どうすれば、か。わかんない、どうすればいいかな」
「僕が聞いてるのに、そのまま返されても困るんだけど」
「あは、そうだよね。ん。じゃあ私の恋が報われたら、許してあげる」
「、、結局それって、一生僕のこと許さないってことデショ。聞くんじゃなかった」
「ご名答。私だって結構傷ついてたんだから、そう簡単には許してあげられないなあ」