第4章 禁じられた2人
「お前、もっとへこんでるかと思ったのに、案外普通だね。図太いじゃん」
星川は僕からの皮肉を首を傾げるだけに留めたようで。
「あのさ、失恋したんだよ、私。平気じゃない。平気なわけないじゃない。だから一週間も学校来てなかったんでしょ」
それ返して、と僕からイヤホンをかすめ取った。
再び僕を無視して耳に掛けるかと思ったが、ウォークマンにくるくる巻き付けポケットにしまっていた。
どうやら彼女は僕と会話を続行してくれる気らしい。
「まあでもバチがあたったのかな」
「、、は?どういう意味」
「だって好きな人がいるからってココに入ったでしょ私。ずっと思ってたんだ。私、中学の時も美術部とか、それも内申のためって感じで実際には部活らしいことしたことなんてないし。高校入って、バレーどころか運動全般まともにできないくせに、ろくにルールも知らないくせに、ただ好きな人に近づきたい、もっと傍に居たいって。そんな浮ついたキモチだからバチが当たったんだよ」
自業自得だよね、と星川は自嘲気味に笑った。
彼女が誰かに笑いかけるってのはただでさえ珍しくて、だからその笑顔はきっと貴重なものなんだろうけど、僕は彼女のこの笑顔は嫌いだ。
心が締め付けられている彼女をリアルに感じるから。
本当に嫌いだ。