第3章 大切な二つの贈り物~二つで一つ~
それから月日は過ぎ、安土に来て少しした頃。
御殿で、娘の桜花が昼寝をしている間に息子、駿の晴れ着を縫いながらふと
「今年のクリスマスプレゼントは何しようかな・・・。」と独り言を口にした。
家康と付き合ってる頃からクリスマスにはプレゼントを挙げていた。もちろん今年も。でも何を挙げるか決めかねていた。
信長が泰平安穏の世を作ったとは言え、家康からは家臣を付けないでの外出は基本的には許されてない。それは“徳川の妻“というだけで狙われる対象になる、ましてや歌恋は男を引きつけやすいからと・・・
(せめて市場を見に行ければなぁ・・・)
そんな事を思いながら息子の晴れ着を縫っていると・・・
「歌恋いるか?」
廊下の奥から久しぶりに聞く声が聞こえた。
「(その声は・・・)政宗!!」
声の主の姿を確認しに部屋から出ると、政宗もちょうど部屋の前に着き、久しぶりの再会だった。
「どうしたの?政宗も軍議出なくていいの?」
政宗「軍議は終わった。家康は仕事片付けてる。」
「そうなんだ・・・。」
政宗「で、今日の夕餉は城で食べるだろ?それの買い出し付き合え。どうせ家康から外にでるなって言われてるんだろ?」
「それはそうなんだけど・・・でも・・・、桜花が寝てるし・・・。」
その時隣の部屋から寝ぼけまなこで母の姿を探す桜花の声が聞こえた。