第4章 クリスマスパーティーと二人の逢瀬~
信長side
今頃二人とも、二人の時間を楽しめているだろうか・・・。
可愛い孫達と安土の外れまで遠乗りしに行き、広い草原や冬でも咲く花がある場所まで行き、そこで握り飯や軽くおかずをカゴにいれ持って行き、食べた。
今日は孫達と一緒に天主閣で寝る。
親を恋しくなって泣いたりはしないとは思うが・・・。
馬を休憩させる為に、俺は木陰の所で座り、駿と桜花が虫を追いかけたりするのを見ていると、ふと昔の記憶が蘇った。
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そう、あれは歌恋が駿府城に行く前の晩のこと。
信長「いよいよ明日、家康が迎えに来て出立だな。」
「はい・・・。」
天守閣で一人、月を眺めながら、徳利にある酒を飲みながら親子の会話を交わしていた。
信長「そのような顔で酒を注ぐな。しめっぽくなるだろう。」
酒が無くなると何も言わずに徳利に酒を注いだ歌恋の顔は、どこか寂しげな顔をしていた。
「あっ、すいません。なんか寂しくなっちゃって。」
信長「たまには文でもよこせ。これでも娘の事を心配しているのだからな。」
「はい。本当にお世話になりました。」
信長「しめっぽくなるだろう。もう、酒は良い。」
「そうですね・・・。あんまり秀吉さん困らせないでくださいね。」
信長「構わん。言わせておけば。」
何気ない会話だったが、一言一言今でもハッキリと覚えている。
家康と恋仲になり、自分から許しを貰いにきた時。
それまでとは違う強い意思を持って来たのが分かった。
その後、歌恋を俺の養子にする事にした。
あれもあれで(家康)一国一城の主。徳川に嫁ぐには何かしらの後ろ盾無ければ難しいだろうと思ったからな。