第4章 クリスマスパーティーと二人の逢瀬~
10年前、家康がたまたま入ったお店で見つけた『は―と』の形の翡翠の石。
今では馴染みになったハートの形。最初はわからなかったが、歌恋曰く、『好きな人に対して使う形』ということを知り、今回の贈り物にも使った。
いつか連れてこようと思ったが、中々行けず、まさか10年経って同じお店で、翡翠を使った物を贈るとは思いもしなかった。
だが、人の繋がりを大事にする歌恋ならきっとその事を知ったら行きたがるだろうと思った。
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お店に向かう途中の事。
「あれ?家康のその“ストラップ”って…」
家康「すとらっぷ?」
「あ、ごめん、根付けっていうのかな?」
家康「あぁ、これね。」
家康は着物の紐に着けていたそれを歌恋に見せた。
「これ、わたしの首飾りと同じ色の糸だし、同じ翡翠の石…」
その根付けを揺らすと、可愛らしい鈴の音が聞こえ、紐は辛子色と紅い糸を組み合わせ編み込まれ、一番下には小さなハートの形の翡翠の石がついていた。
家康「この翡翠、歌恋の首飾りの石とこの石がもともと大きな一つの石だったらしい。それがなぜかこれだけ割れていたらしいんだ。」
「じゃあ、私の首飾りの翡翠と、家康の翡翠、合わせて一つなんだね!!」
首元にある翡翠に指をあてて嬉しそうにする歌恋。
『割れて一つだけ残すのもなんだか可哀想な気がしたから』と自分用にお揃いで残すことにしたと家康は話した。