第3章 大切な二つの贈り物~二つで一つ~
それから2日後。
「よし!」
3日間ほぼ寝ずに徹夜で集中して作りあげた家康の晴れ着。
あとは微調整するだけ。着物を作るのはこの10年何度も作ってきた。
作る度に自分の中でも完成度は上がってきた。
だからこそ、自分の中で過去最高の物を作りたい気持ちが強かった。
「うん、やっぱりここにの刺繍はこの色にしよう!」
子ども達が帰ってくるまでにここまで仕上げないと・・・。焦る気持ちを抑えながらひと針ひと針縫っていくと・・・
「あっ・・・糸が無くなっちゃった。大事な所なのに・・・」
あと少しでその刺繍が完成するところでその色の糸が無くなってしまい出来なくなってしまった。
(んーもうそろそろ子ども達が帰ってくる頃だからなぁ・・・)
一旦作業を止めて、あと少しで出来上がるその晴れ着を丁寧にしまい、仕事道具を片付け、湯浴みを済ませて部屋で待つことにした。