第3章 大切な二つの贈り物~二つで一つ~
店主は細長い1本の黒の布を取り出した。
店主「この首飾りの紐でしたら色合いも、大きさも上手く着けられるでしょう。ただ、小さい方は・・・」
家康「小さい方は?」
店主「形を整えるとおそらく余計に小さくなって、着けるには無理があるかと。」
家康は少し考えて、ある提案をした。
店主「かしこまりました。そのように職人に手配致します。」
家康「あと、この手鏡も同じような感じで。」
家康「うん、よろしく。」
それをいって、そのまま店を出た家康は普段顔にあまり表情には出さないが、かなり満足そうな顔をして歩いていた。
(手作りじゃないけど、歌恋がいう“世界で一つだけのもの”、“おりじなる”とか、“おーだーめいど”とかいうやつだから気に入ってくれるといいけど。)
10年前の耳飾りを挙げたときに教えてもらった500年後の南蛮の言葉らしい。
その時に「世界で一つだけのオリジナルで、完全オーダーメードでしょ?すごいね!!家康!!」
とか言って喜んでたっけ。
(とりあえず、桜花の分も決まったし、歌恋にもいいのが渡せそうだし、よかった。)
その夜歌恋の贈り物のことは伏せて、桜花の分だけ決まり、頼んできたことを伝えることにした。