第3章 大切な二つの贈り物~二つで一つ~
ー家康side―
歌恋達が城下を政宗達と歩いていた同じ頃、書類の片付けが終わり、家臣から歌恋と子ども達は政宗と一緒に出掛けていると報告があった。
(ちょうどよかった。歌恋に何か“くりすます”の贈り物考えたいし、去年は京都のちりめんで出来た小物入れと桜花とお揃いの簪だったし・・・、その前は・・・)一人で考え事をしながら城下に向かって歩いていった。
ふと軍議の後で秀吉が言ってた事を家康は思い出した。
―安土城、大広間廊下にてー
秀吉「そう言えば、城下に特別に焼き物の店が来ていて、自分で好きな模様を付けることが出来るみたいだぞ。」
家康「なんで、それを俺に言うんですか?別に聞いてませんけど。」
秀吉「何言ってるんだ、もうすぐ歌恋達が楽しみにしてる“くりすます”だろ。」
家康「そうですけど。」
家康が素っ気ない態度で返事をすると、秀吉が家康の肩に『ポン』っと手を置くと。
秀吉「歌恋は毎年手作りの物をくれてるんだろ?ならたまには出来合いの物じゃ無くて、お前の手作りの物でも挙げたらどうかって言ってるんだ。」
家康「まぁ、考えておきます。」
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そんなやり取りをしたのを思い出しながら城下を歩いていると・・・
例の話しに出てきた焼き物の屋が見えてきた。