【ハイキュー!!】happy ignorance R18
第5章 uncomfortable fact
side 月島 蛍
何だって言うんだ…。
こんな街中で走るなんて、全くキャラじゃないんだけど…。
それでも背後から迫るような焦燥感を振り払うように走るしか選択肢が無かった。
何だって言うんだよ。。。
自分の目の前で起こった事が、まだ現実として受け入れられない。
いや、受け入れたくないだけで…アレが現実なんだ。。。
徐々に足の速度を弱めると、足元にポツポツと汗が垂れてアスファルトにシミを作った。
今日の僕と和奏は間違いなくいい感じだったはずだ。
和奏だって…僕の事が好きなんだって、あんなに自信を持っていた。
だからこそ、告白をするつもりだったんだ。
僕が和奏にどれだけ惹かれてるかを伝えて、
和奏が僕のことをどう思ってるのか、確かめたかった。
でも…、及川さんが…あの人が僕を害虫呼ばわりしながら現れた瞬間に全ての空気が変わった。
前に練習試合で会った時からわかってた。
和奏が幼馴染として紹介したあの人が、和奏の事をちっとも幼馴染としてなんて見ていない事。
和奏は俺のものだと言わんばかりに垂れ流された独占欲。
もちろん、幼馴染ってだけで僕より和奏の事を知っているんだろうって。
そんな男が居ることに、嫉妬心が掻き立てられた事は事実だ。
それでも、あの人の気持ちはともかく、和奏は幼馴染だと言っていた。
和奏に惚れてる男なら、それこそ掃いて捨てる程いる。あの人もそんなゴミ屑になる片思いの1人だと。
和奏の気持ちが向いているのは僕だと思ってた。
「結局、思い上がってただけなんだ…。」
思い知らされた。
「ここにおいで」と自分の足の間を指すあの人と、
戸惑いながらもそこに収まる和奏。
何だよ…これ。
そうは思っても、まだ事態が全く処理しきれてない頭で、あの人に勧められる通りに2人の向かいの席に腰を下ろした。
あれが、頭が真っ白って状態だったんだろう。
今も大して変わらない鈍った思考で、それでも必死に先程までの思い出したくもない事態を思い出した。