第4章 【聖夜の翡翠princess】第一幕
【聖夜の翡翠princess】※第一幕
23日、Xmasプレゼント……
十二月。
頭に真っ先に浮かぶイベント【Xmas】
色彩を失い、灰色の風景の中に、閉じ込められたような……そんな季節の中。
雰囲気が一変。
街を光で彩るイルミネーション。
真っ赤な苺が乗ったホールケーキ。
大きなクリスマスツリー。
耳に残るベルの音。
その日が近づくと多彩な色が、明るく包み込む。仕事をする人。一人で過ごす人。友達と過ごす人。家族と過ごす人。
木枯らしが吹き付ける中、
寄り添い恋人と過ごす人。
人それぞれ過ごした方は違う。
今にも、小雪が舞いそうな空の下。
それだけは、皆んな一緒。
静かにも窓を開けて、
空を見上げる。
(雪、降りそう……。ホワイトクリスマスになるかな?)
舞い込む、冷たい風。
手に息を吹きかけ擦り合わせる。視界の先でキラリと光る薬指。その輝きは、婚約中のシルシ。
スッと右手の親指で、婚約指輪に触れれば……自然と笑みが溢れた。
春に思い出の場所で
プロポーズされて……
来月の三十一日。
大切な人がこの世に生まれた、
大切なその日に……
私は、その人のお嫁さんになる。
「あ!いけない!もう、こんな時間!」
二十三日の今日は、仕事。
荷物を持って、
急いで玄関に向かい……
最近お気に入りのローズピンクのパンプス。
それをササっと履いて、飛び出す。
婚約者として過ごす……
最初で最後のXmas。
どんな聖夜が待っているのか……