第8章 【聖夜の翡翠princess】最終幕※R18
二人は一晩中、愛し合い。
日が昇る少し前に、眠りに落ちた。
ひまりは、家康に腕枕をされ……
家康は、ひまりの頭に頬を寄せる。
幸福な寝顔で、
スヤスヤ寝息を立てている間に……
枕元に置かれた、三枚の写真。
その二枚が……姿を消す。
代わりにあるプレゼントが届いた。
窓に映り込んだ、赤い服……
一体、彼の正体は……
サンタクロース?神様?……?
朝の八時過ぎ__
二人は一緒に目覚める。
「ん〜……あったかい…」
「八時か。まだ、眠い…」
家康は欠伸を一つして、胸に顔を擦りよせるひまりの頭を、頬ずり。もぞもぞ自分の腕の中で、小動物のように動く可愛さに、癒され、微睡み、もう一度、深い眠りに入ろうとした時だ。
「あ!!写真がない!!」
素っ頓狂な声を聞き、
パチッと目を開ける。
昨夜、確かに枕元に置いた写真。
みつばに贈る写真だけがあり、後の二枚はどこを探して見当たらなかったが……
「これって!!」
「……つまり、写真がこれに変わったってこと?」
ちょこんと添えてあった……
小さいサイズの、
ネクタイピンとティアラ。
二人は顔を見合わせ、お互いの頬を引っ張り、確かな痛みを感じて、夢でない事を確認して笑った。
ひまりは首飾りにそれを。
家康は、ストラップにそれを付ける。
「サンタさんからかな?神様かな?」
「奇跡と魔法だったりして」
そして二人は、
昨晩、写真裏に書いたメッセージを……
耳元で囁き合い……
「ふふっ。結婚式の誓いみたい」
「ってか。ほとんど一緒だし」
そして、どちからともなく目を閉じて……
新しく飾りを付け替えた物に、
その言葉を誓い合った。
「でも……。写真は、一体どこに?」
「あるべき場所に、届けられたとか?」
あるべき場所?
だぼだぼのグレーのパーカー。それを着て、袖から指先だけを出し、キョトンと首を傾げるひまり。
家康は喜びを頬に浮かべ……
(ほんと。こういう所は、恋人同士の時から変わらない)
額をコツンとくっ付け、「内緒」そう呟いた。
溶けるような幸福感に満ち溢る。
あるべき場所……
そこに同じ幸せが届いている事を、
……二人は願った。