第8章 【聖夜の翡翠princess】最終幕※R18
ボォー……ン。
三つ鳴った鐘。
タワーマンションに映し出された、マッピング映像。フッと、何処からか聴こえてきた、掛け時計の音を最後に跡形もなく消える。
それに気づいて、顔を正面に戻すと……
「綺麗だから勿体ないけど……」
暗闇だけ映したガラスに、
一瞬、映り込んだ欲情の目。
ショールを外され…
「家康……」
シャンパンで少し火照っていた身体。背中のファスナーが、ゆっくりと、ゆっくりと時間をかけて下ろされていく。
外気を浴びだした肌。
シルク素材のドレスが、半分はだけた所で……
「誰にも見せたくない」
今度は背中にひんやりとした、
窓ガラスの壁が……
火照った肌を冷ます。
「翡翠プリンセスが……
俺だけのお姫様に戻る瞬間を……」
でもすぐに、
「んんっ……」
唇から熱いねつを与えられて、
「……愛してる」
一昨日は電話越しだった言葉が、
激しいキスの合間に届く。
口内に滑り込む生暖かいモノが、私の舌を探して蠢く。唇を甘がみされ、舌先が歯をなぞられて……目眩を起こしそうになるぐらい、熱が全身に行き届きはじめ……
「寒くない?」
吐息のような優しい声が、
胸を熱くさせる。
私はコクリと頷き目の前の首元に、
腕を絡ませる。
家康がくれる全てを、
受け止めたくて……
「ひまり……」
「はぁ、は、っ……」
家康の動きに合わせて、おずおず舌を絡ませ、薄っすら目を開ける。いつもなら直視するのが、恥ずかしい真っ直ぐな視線も……今は欲しくて堪らない。
ちゅ…ちゅく…と、
静かな空間に音が冴え渡って、
頭の芯までぼっーと、してくる。
(あったかくて……熱い……)
純白のストラップレスのブラ。
キスをしながら、その上をやんわりと包んでいた手のひら。優しく片方だけ揉まれて、ピクンッ、ピクンッと反応すれば、だんだん動きが早くなって……
「は……ぁん…」
唇を離して、吐息を零せば……
「食べたい。ひまりの全部が…」
家康は瞳に熱を浮かばせ、呼吸を少しずつ荒くさせ、私の頸に唇を這わせちゅっ、ちゅっと音が響かせながら、鎖骨、肩、胸元に無数のキスを落としながら……
パサッ……。
ドレスを床に落とす。