第7章 【聖夜の翡翠princess】第四幕
舞踏会が始まった頃___
みつばは目覚めた。
両親に、具合が悪い所はないかと聞かれ首を振る。ただ、夢を見たようで興奮した様子で、声を弾ませた。
「あのね!ちゃんと、魔法の石が奇跡で届いて!先生と、お姉ちゃんが、王子様とプリンセスに!」
両親は驚いた様子で顔を見合わせ、ある物を渡す。
魔法使いのオーナメントと、
一冊の絵本。
「ちょっと、慌てん坊なサンタクロースと、遅刻した神様からみたいよ」
家康が残した伝言を告げた。
「うわぁ!絵本の中と一緒のオーナメント!」
「聖夜のお祝いしながら、三人で読もうか?」
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『まほう使いの少女』
白い羽が舞い落ちる、聖夜の夜……
女の子はすてきな魔法を届けた。
それはたくさんの幸せ運び、たくさんの人々にもたらした笑顔。
そのごほうびに、女の子は本物のまほう使いになり、元気になり、自分自身も、心が満ち足りた『幸福』をプレゼントにもらえたのだった。
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真っ白な病室の中。
くすくすと笑い声が絶えず母親の手料理と、苺のたくさん詰まったケーキを食べ、父親が口に運ぶ、金色のシャンパンを、みつばはじっと見て……
「あ!お父さん!幸福いっぱいのんだ!」
三人は笑った。
窓に映る、白い羽……
ふわりふわりと舞い降りて……
奇跡をまた何処かに運んだ。
二人が手を取り合って、ダンスホールの会場に入ると、プロのオーケストラさながら……吹奏楽部が、演奏をはじめた。
盛大な拍手を送る、
高校時代の友人、弓道部の先輩、後輩達。
プリンセスは、会場に集まった顔ぶれを見て、声を失い、腰を抜かしかけ、目を大きく見開き、驚きを全身で表現。
その隣で、王子は微笑む。
手を取ったまま、片膝をつきその場に屈み込むと……
目元をほんのり赤らめ、
「美しいプリンセス。一曲、踊って頂けませんか?」
蕩けそうなほど、甘い笑顔を見せた。
「はい。喜んで……王子様」
プリンセスは今にも泣き出しそうに、それでも誰もがうっとりするような、綺麗な笑みを浮かべ、ドレスの裾を掴み、一礼。
王子は、
プリンセスの腰元に手を添え……
「……やばいぐらい。緊張した」
本音を零した。