第7章 【聖夜の翡翠princess】第四幕
ハートの大きさは違う。
でも、そこには確かな三つ葉の形。
「すご、く……綺麗……」
完成したティアラ。
私は涙ぐみながら、その素敵な輝きにうっとりして目を奪われ、心も奪われ、全身に鳥肌が立つような……感動が湧き溢れ、同時に温かいものが込み上がるのを感じた。
プリンセスのオーナメント。
みつばちゃんが苦戦しながら、縫っていた冠、ティアラにもちゃんと小さな三つ葉のモチーフが。
(ありがとうを明日、いっぱい、いっぱい伝えたい)
そう思いながら、ぎゅっと胸の前で握りしめると、家康はティアラをゆっくりと、顔のあたりまで持ち上げ……
はめ込んだ翡翠の石に、口づけを落とす。
そして……
ティアラをそっと、
私の頭頂部につけると……
「………綺麗だ」
まるで眩いものを見るかのように、翡翠色の目を細めて……
「……ここからは、王子の出番」
ほら、プリンセス……
目、閉じて。
心のこもった口づけを、贈ってくれた。
ボォー……ン…。
ロビーに飾られた振り子の掛け時計。
その音色の鐘が鳴り響いた時……
それが合図かのように、唇が余韻を残しながら、静かに離れ……
「え……っ!」
次の瞬間、目を疑った。
クリスマスツリーから広がるように、周りの床や壁、天井に付けられた、ひと粒、ひと粒の光が煌めき、ロビー全体がイルミネーションの世界に包み込まれる。
暖かな色のクリスタルホワイトのLED電球。広がった幻想的な空間。
「……気に入った?」
「……ありがとうっ。……何だか、魔法の世界みたい……」
目の前の胸にしがみ付く。
もう、他に表現が見当たらない。寂しい気持ちも吹き飛んで、幸せで、嬉しくて、でも泣きそうにもなって……
「……幸せだよ」
そう言葉を漏らせば、強く抱き締めてくれる腕。それさえも、夢かもしれないって思ってしまうほど、幸せ。
それぐらい夢心地な気分。
「やっと、始まったか。寒い中、待機してる身にもなれ」
「くくっ。それより、これ渡さなくて良いのか?そのままだと、どう見ても家康は腑抜けな王子だぞ」
手渡された鞄。
ハッとして、
私は箱を取り出して家康に渡す。