第7章 【聖夜の翡翠princess】第四幕
プリンセスになる為には欠かせない。
そのドレスを準備。
まさか自分用だとも知らず、ひまりはそれを製作。それから、みつばはプレゼントを渡すシナリオを作った。
待ち合わせ場所は、
時計台のツリー前。
「先生は、魔法使いじゃなくて……王子様!だから、ちこくするの!」
「え?俺は、遅刻するの?」
「十分だけちこく!だって、先生〜いっつもお姉ちゃん来てても、タイミングわるいもーん!その間に、みつばが魔法をかけるの!」
裁縫を教えてくれる日は、いつも五分ほど遅刻してきていたひまり。みつばは、気づいていた。遅刻ではなく、家康の姿を無意識に探していて、病院内をゆっくり歩いていたことを。
だから、会った?ではなく、会えた?と聞いたのだ。十分の理由は、ひまりが五分遅刻してくる前提の計算。
小学生らしい発想。
「魔法を……?」
「それは、先生にもナイショ!でも、ちゃんと石は渡すから!」
家康には内緒していた。プリンセスのオーナメントの首飾り、魔法をかける呪文をメッセージを添え、ツリーに飾りつけをする予定でいたことは。
時計台のツリーは、シンプルで飾りっ気がない。目立つからすぐに気がつく。そう考えたみつば。
「それから、お店にお姉ちゃんを連れて行って、変身させるの!その間に先生は、お城!」
ひまりがドレスアップしている間に、家康は城に行き待機するシナリオ書き。
素敵なプレゼントを渡す、演出。
「わかった。皆んなに協力して貰う」
聖夜の舞踏会、準備。
そっちは、王子である家康が担当することに。
「ちょっと、耳かして!」
こしょこしょ話。
「ん?………本気で言ってんの。それ」
家康は、それを聞いて苦笑い。
「王子様なんだから!きっと、喜ぶよ!」
「はいはい。……頑張るよ」
小さな頭を撫でながら、
家康は少し照れ臭さそうに笑う。
こうして……
「プリンセスの名前!何がいいかなぁ〜」
「なら、こんなのは……」
【聖夜の翡翠princess】
みつばと家康は、ハイタッチ。
家族、恩師、友人、幼馴染……
奇跡と魔法。
全ての想いが【princess story】を、
一つに繋いだ。