第7章 【聖夜の翡翠princess】第四幕
【聖夜の翡翠princess】※第四幕
聖夜、【奇跡の石】【魔法の石】
チクタク…チク、タク……
逆回りを始めた時計の針。
チクッ、タクッ。
針が止まったのは、
十一月某日の昼間。
白い病室___
「先生。それ何?」
診察を病室で終えたみつば。ポケットからキラリと光る石を見て、指をさせば……
「……コレのこと?」
家康は取り出し、軽く持ち上げる。
車の鍵に付けていた、ちりめん細工の紐で出来たストラップ。一番、上に小さな鈴。下の部分にはハート型の小さな翡翠石がぶら下がっていた。
「小さい頃。クリスマスに貰った」
「サンタさんに?」
「サンタからは地球儀。これは……神様らしい。晴れ着と一緒に入ってた」
晴れ着?ベットの上で首を傾げる、みつば。家康は、今度の神前式に着る着物のことだと説明。
「この石に、誓った。ひまりにいつか、魔法をプレゼントすると。……それを忘れないように、クリスマスが近づく時期には、肌身離さず持ってる」
家康は石を指でなぞる。それを今年プレゼントしようと、決めていた。婚約者として過ごす、最初で最期のXmasに。
ある偶然、それを奇跡だと思い。魔法として、ある贈り物の準備していたのだったが……
「あとは、どう渡すか。喜ばせたいしね」
「みつばに、良い考えがあるよ!」
読書が大好きだった少女の、この一言からはじまった。
家康から時折、ひまりの話を聞いていたみつばは、ずっと会ってみたいと思っていたのだ。この件と両親への贈り物。それをキッカケに、仲良くなるのにそう時間はかからなかった。
まず、最初にしたのはドレスの注文。
マネージャーに協力して貰い……
「デザインは、お任せ、…します。ただ、せ、先日お店の前で…あ、貴方をお見かけ…し、た時に、す、素敵な首飾りをされているのを、は、拝見いたしまして……」
みつばが電話のやり取り。
切った、瞬間。
「ぷっ、くっ、くっ……声小さいし、噛みすぎ」
腹を抱えた家康。
「先生がこんな、むずかしいの考えるからだよ〜」
ふりがな付きで書かれたメモ。
ひまりが手がけている仕事が、ひと段落ついた所を見計らっての、二週間前に注文をいれたのだ。