第6章 【聖夜の翡翠princess】第三幕
淡い翡翠色のドレス。
自分が製作したドレスに身を包み、
私は移動して、二人の前に立つ。
「お客様名は、プリンセスって言ったでしょ?あと、店頭引き取りだってね」
着替えた私を見て、マネージャーはパチパチと、胸の前で拍手。
「綺麗よ。本当に……。素敵なプリンセスだわ」
その声には、嘘一つ含まれていない。それが凄く伝わって、嬉しさでいっぱいになるのにも関わらず、頭の中は混乱。
「あ、あのっ!一体、コレは……っ」
「時間がないから急がないと」
「天音ちゃん!?」
私の肩をストンと下ろして、ドレッサーの前に座らせ…
「早く、帰国するって。ハガキが届かなかった?」
手早く髪をアレンジ。
ゆるふわのアップヘアスタイル。少し後れ毛を足され、キチンと過ぎない素敵なプリンセスヘアが……あっという間に完成。
「コレに付け直して」
私は言われるまま、
ローズピンクのルージュを塗ると……
お気に入りのローズパンプス鳴らして……
鏡の前に立った。
(これが、私……)
滅多に髪を上げたりしない所為か、
鏡の中の見慣れない自分に、ただただ驚く。
「これは私からの、プレゼントよ」
リッチ感溢れる、肌触りの良い上質な真っ白のファーショール。マネージャーは、それを背後から私の肩にかけてくれた後、最後に……
「ブランド名は『kazumi』」
素敵な後継者の為に、製作したからね。
まるで勇気付けるように、背中を優しく押してくれる。
裏側の端についたタグ。そこには、マネージャーの名前がローマ字で、刺繍されていた。
店の外に出ると……
「秀吉先輩!明智先生!」
白いスーツ姿の二人は、私の姿を見て細く笑みを浮かべる。そして「お迎えにあがりました」まるで、召使いみたいな台詞と、胸に片手をあて一礼する動作を見せたかと思えば、私の両側に立ち……
手を掴んだ瞬間。
「「城に案内する」」
そう、声を揃える。
(え?お城!?)
次から次に起こる展開。それに、全くついていけないまま……二人にエスコートされ、私は一台の白い高級車に、乗り込んだ。
〜聖夜の翡翠プリンセス〜
to be continued...