第6章 【聖夜の翡翠princess】第三幕
四人が、
時計台の公園前まで辿り着くと……
「あ!サンタさん!」
プリンセスのオーナメントを持った男の子は、赤いサンタ帽子を被った青年を見つけ、声を上げる。
「あれは、サンタじゃ……」
「ふふっ。そんなこと言わないで。ねぇ、折角だからサンタさんにお願いして、ツリーに付けて貰ったら?」
そっちの方が、落とし主さんに早く届くかもしれないよ?と、母親に言われ男の子は元気良く頷いて、雪に足跡を、付けながら転ばないように走っていく。
「サンタさん!」
「……へ?もしかして、俺のこと。ほら、帽子なんか被せるから」
「どーしても、お揃いで被りたかったの!」
ブツブツと文句を垂れる青年の横で、同じ年頃の女は声を零して笑う。
デート中だった若い二人。
男の子にとりあえず用件を聞く。
「プレゼント欲しいとか言われても……困るんだけど」
「ちがうよ!コレ、あのツリーに付けて落とし主さんに届けてほしいんだ!」
「ツリーに付けるだけでいいの?」
「……わかった」
青年は男の子から受け取る。
走り去る小さな背中。
青年と女は、
手を繋いでツリーの前に移動。
「飾り何一つないから、きっとすぐに気づくね!」
「……大事な物なら、探しに来るだろうしね」
「んんっ?このドレスの生地……」
女はプリンセスのドレス生地を見て、首をかしげる。最近、何処かで見たような……?ぽつりと声を出して、オーナメントに手を伸ばすが、繋いでいた手を引っ張られ、ぽすっと青年の胸の中に頬が埋まる。
「……お腹すいた。早く、手料理食べたい」
「任せて!今日は、一段と腕に寄りをかけたよっ!」
牡丹雪をサンタ帽子の上に乗せて、二人はツリーの前から離れた。