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イケメン戦国『3人の姫と3人の天邪鬼♡※現代』

第5章 【聖夜の翡翠princess】第ニ幕




暫くして、車が停車。

私は扉を開き、風呂敷包みを持って地面に足を着ける。すると、窓のガラスが半分だけ開き……


「そうだひまりちゃん。そろそろ、おばちゃんは卒業して貰えないかしら?」


「ふふっ。ごめんなさい〜。お母さま?ありがとうございました」


懐かしいやり取りの後、私は後ろに下がり切り返して大通りに向かう車を、手を振って見送る。



(私も車の免許取ろうかなぁ。ふふっ。そしたら、クッションも自分の車に乗せれるしね)


高級車の助手席に、不釣あいに乗ってるハートのクッションのことを思い出して、溢れた白い息。

家康は絶対、反対しそうだけど。
危ないからだめ、とか。
心臓に悪いから、とか。
色々言われそうだけど……でも、最後はいつも折れてくれることが多い。


ケンカもそうかも。
私も、もちろん謝る。でも、お互い一歩も譲れない時は、いつも最後に家康が謝ってくれる。たまに、学生の頃みたいに、今でも言い合いはするけど……


大ゲンカ。最近はないかな?


風呂敷包み。
その結び目を持った指に力がこもる。



(今はどっちかと言えば、する時間がないのかもしれない……)



ヒールの踵をくるりと動かして、
頭上の鳥居を潜った。



もしかしたら、おばちゃんは気づいていたのかもしれない。



「寂しくても」「寂しい」って、
私が言えないのを……



大人になっても、結婚しても、夫婦になっても。きっと、淋しい気持ちはあって、当たり前なんだよ。って、伝えてくれたのかもしれない。

好きでいる限り、ずっとその気持ちはなくならなくて。でも逆に言えば、それはずっと大好きな証拠。




だから、寂しくても
……幸せって思えるのかも。




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