第5章 【聖夜の翡翠princess】第ニ幕
「ほら。小さい頃は、聖夜は毎年、うちでパーティーしていたでしょ?ひまりちゃん。シンデレラの絵本と、お菓子持って先に来てくれてね」
「シンデレラの……。ふふっ。懐かしいなぁ〜。私が一番、憧れていたプリンセスだったから」
ガラスの靴に魔法。
舞踏会に素敵な王子様。
あの物語には、女の子の憧れ夢がたくさん詰まっていて大好きだった。
その事を思い出しながら、話の続きを聞く。
私が来たことで家康は、晴れ着のことをすっかり忘れてしまい、おばちゃんも、夜のご馳走の準備や買い出しで慌ただしくなり、そのまま夜にパーティー、そしてクリスマス当日の朝を迎え……
不思議なことが。
「え?コレが家康の枕元にですか?」
私が驚いた声を上げれば、おばちゃんは頷き、あれだけ探しても見つからなかったのに不思議でしょ?と、困ったように微笑む。
「家康は、サンタが二つプレゼントくれたって、地球儀を抱いて喜んでてね」
おばちゃんはたとう紙を広げて、
中を見た時は、心底驚いたと話す。
これは見せようとしていた、お嫁さんを貰う時の衣装だと説明して、大人になるまで預ろうとしたら……
ーープレゼントはもう、貰った!
「って、あの子が言ったのよ。何を?って、聞こうとしたら……ひまりちゃんがガラスの靴を貰ったか、見てくるって、部屋飛び出しちゃうしね〜」
「プレゼントが二つ。……ガラスの靴」
私はハッとして、自分の首に巻いてある首飾りに触れる。
自分も一度だけ、
プレゼントを二つ貰った時があった。
「でも、サンタが神前式に着る衣装を枕元に置いて、何かをプレゼントしたなんて。……だから、あの子が帰って来てからね〜」
きっと、一つはサンタさんで。
もう一つは、きっと神様からの贈り物。
おばちゃんは、
そう家康に話したと教えてくれた。