第5章 【聖夜の翡翠princess】第ニ幕
お母さんの特性、
ふわふわオムレツを食べた後。
コートを羽織って、
マフラーと鞄を手に持つ。
「おばちゃんの所に行ってくるね!」
「あ!ひまり!ちょっと、待ちなさい」
玄関先で靴を履いていると、お母さんがパタパタとリビングから出て、一枚のハガキを手渡され、私は鞄とマフラーを一旦置き、ハガキのオモテ面を見て……
「クリスマスツリー。綺麗……」
歓喜の声を上げる。
煌びやかな、
大きなクリスマスツリーの写真。
お母さんに、ウラ面を見るように急かされ、クルッと反対を向けた瞬間に差出人がわかり、目を見開く。
ひまりちゃんへ
結婚式の招待状。ありがとう。
早めに帰国して、必ず出席します。
二人を心から祝福させて下さい。
幼馴染の天音より
「良かったわね。幼馴染三人。久々に揃うじゃない」
私は、ハガキに視線を落としたまま頷くと、それを大事に鞄の中にしまい、明日の夜には帰ることを伝え、元気良く「いってきます!」と言って、外に飛び出す。
徒歩、たった一分の道のりを歩き……
ピンポーン。
数秒後、扉が開く。
「ひまりちゃん!ちょうど、今、出しいたとこなのよ〜寒いから早く上がって〜」
「キャン、キャン」
「お邪魔します。……あ!ワサビ!可愛い〜〜」
おばちゃんの胸に抱かれた、尻尾を全開に振るチワワのワサビは、サンタコスチュームを着て、頭にトナカイの帽子付けていて、可愛い。
「後で写真撮らせてね!家康に送るから!」
「キャン!」
ワサビを抱っこして、玄関に入る。
今日ここに来たのは昨夜、家康に頼まれた用事をする為。徳川家に代々伝わる、紋付羽織袴を秀吉先輩の神社に届けること。おばちゃんが、行きは車で乗せて行ってくれるみたい。
今まであまり踏み入ったことのない、一番奥の部屋の和室。おばちゃんは、ワサビをゲージに入れてくると言って、リビングの方に。私は先に中に入っているように言われ、襖を開ける。