第4章 【聖夜の翡翠princess】第一幕
スタッフは私を含め、八名。
本社は別の所にある為、関連会社のここは少人数。でも、会社の規模としては大きく、国内に同じ系列の会社が複数あり。外注で、白無垢、色打掛、本振り袖や新郎衣裳、留袖にモーニングなどもオーダー出来る。
「マネージャー!おはようございます!」
「朝から元気ね。よっぽど、明日のデートが楽しみなのかしら?」
マネージャーに図星をつかれ、
私は、はにかむように照れ笑い。
「で?プレゼントは完成したの?」
「はい!もう一つのほうは、今日の夕方、お店に取りに行って一緒にラッピングをお願いするつもりです」
私は元気よく頷いて、マイデスクに鞄を置き早速、デザイン画を持って仕事に取り掛かる。
(何とか今日中に、仕上げないと!)
二週間ほど前に、急遽頂いた依頼。
今月のショーウィンドウに飾られた、ドレスを気に入ってくれて、せび私にとご指名を下さったらしいんだけど……。その方と打ち合わせをしたのは、一度だけ。マネージャーがお客様と連絡を取ってくれて、途中で電話口を変わると……
ーーデザインは、お任せ、…します。ただ、せ、先日お店の前で…あ、貴方をお見かけ…し、た時に、す、素敵な首飾りをされているのを、は、拝見いたしまして……
少し緊張した感じで、声も小さくて、言葉も、途切れ途切れ。詳しくは注文を直接受けた、マネージャーに聞いて欲しいと言われ、それっきり電話は切れた。
何でも明日、二十四日の聖夜。
婚約者の方と、とある場所でクリスマスディナーを予定。そして、今回ご注文を頂いたのは、その時に来ていくカラードレス。私がクリスマス時期になると、必ず付ける首飾りと、良く似た物をお客様は付けていかれるみたい。だから、それに合うようにとのご依頼。