第8章 板の上の魔物[簓]
次の日、ささらくんからはすごく元気そうなLINEが届いた。
[おはよーさん✨☀️🤗✨]
[昨日はいろいろほんまにありがとう‼️😭✨]
[おかげさんでもーすっかり元気やでぇ‼️✨😉💪✨]
[またこんどネトフリ観よなー👀✨てかつむぎも登録しなさい🤦♂️]
うわうるさっ。
エクスクラメーションマークと顔文字絵文字で彩られたちょっとうるさめのLINEに気後れしながら、私はいつも通りに返事をする。簓くんとLINEする時はいつも反動で淡白になってしまう。怒ってる訳では無い。
[元気で良かった。]
[油断しないのが大事]
今度ネトフリ見に行く時は、フライデーされないように気をつけないといけないなぁと思った。
今日も土曜日でお休み。
テレビをつけると簓くんは、お昼の番組で沢山笑いをとっていた。
『いやちゃうんかーい!』
「んふっへへへっ」
テレビの前でまた変な笑い方をしてしまった。やっぱし笑い方はそう簡単に直せんみたいだ。部屋に1人やし、まぁいっかと諦めた。
テレビの向こうの簓くんは、にこにこ頑張ってる。
簓くんは、ずっと一線で戦ってる。
きっと傷つきながら、怒られながら、恐れながら、それを隠そうとする努力もしながら。
それほど簓くんはお笑いが好きなんだろうなって思うし、白膠木簓のお笑いは相変わらず面白い。
私も仕事をやっていると、傷ついたり、怒られたりよくする。もしかしたらいずれ、簓くんの大変さとか、分かるようになるかもしれない。
『もーええわ!』
「ふはっ」
また笑ってしまった。
だって面白いから、簓くんは。
あっそうだと思いついて、私は簓くんにラインを送った。
[簓くんテレビ出てる。]
[やっぱり1番好きな芸人だ。]
[推せる。]
テレビで簓くんを見た感想を送った。
そんなちっちゃいことだけど、たくさんの人を笑顔にしてる簓くんを私が笑顔にできる方法かもしれないって、ちょっと誇らしい気持ちになった。