第2章 Hero Appears [轟]
「ピンチの時には、呼べばいいんだよ!」
今にも泣きそうな少年の前に、ヒーローマスクを被った少女は仁王立ちをする。
縁起の良さそうな二色の頭はじっと動かず、色の違う二つの瞳はポカンと呆気にとられていた。
「そうしたら私は、いつでもやってくる!」
照りつける日の中で、彼女はヒーローのお決まりポーズをとる。
左腕を曲げて左の腰に構え、右手を左上へ真っ直ぐ伸ばしてそのまま右側へ。右側にいった右手は素早く引いて腰に構え、そして左手は高く高く右上へ。
それでヒーローポーズは完璧だ。
「ヒーロー…なの?」
少年が小さく零すと、少女はマスクの向こうでニヤリと笑った。
「もっちのろーん!!地球の平和を守るため!とおーい星からやって来た!誰にも負けない正義のヒーローなーのだー!!」
少年は涙なんか忘れて、目を輝かせた。
ヒーローは、ここに居た。
「ヒーロー、けんざーん!!」