第5章 戦国時代のX'mas ~二人っきりのX'mas~ ※R18
御殿に着いて家康の部屋に入る。
女中さんが、前もって火鉢をおこしてくれていたのか、想像していた寒さではなかったけど、羽織を脱いで過ごせる温かさではない。家康がすぐに火鉢の中に炭を追加し、行灯にも火をつける。
「寒いけど、直に温かくなるから、もう少し待って。」
言いながら家康は羽織を脱いで、衣桁にかけると、火鉢の前に座り、膝をポン。と叩く。
その行動に頬が熱くなり、家康と同じように、羽織を脱いで衣桁にかける。
いつもなら、そのまま家康の元にいくが、今日だけはすぐに行かず、持ってきた風呂敷包みを持って、緊張しながら家康の前に座る。
「?…陽菜?」
「っ…あ、あの……こ、こ、これ…い、い、いっ…家康にっ!!」
ズイッ!!と、家康の身体に押しつけるように、腕をいっぱいいっぱいまで伸ばし、緊張と恥ずかしさで真っ赤になった顔を見られたくなくて、勢いよく頭を下げる。
「…え……?」
「あ、あ、あの……わ、私から、家康に……クリスマス、プレゼント…なの………」
風呂敷包みを持つ手が、かなり震える。
なかなか家康が受け取ろうとしないので、今さらになって迷惑だったかも。という考えが過り、涙がじわぁ…と込み上がってきて、風呂敷包みを引き下げようとしたとき
そっ……
家康の温かい手が、私の手に触れて、恐る恐る顔を上げると
「…俺が……貰っていいの……?」
家康の頬が赤みを帯びていた。