第4章 戦国時代のX'mas ~パーティー編~
捌かれた鱈を小麦粉にまぶして、ニンニクと生姜を炒めた鍋に入れてソテーする。
本来ならバターを使いたいが、この時代に無いので、陽菜は、キノコたちも炒めて少し和風ぽくしていた。
「おい。これ、いつまで混ぜるんだ?」
政宗に呼ばれて、近づくと、見事にメレンゲが出来ていた。
「わっ!すごい!もう充分だよ。ありがとう!」
「じゃあ、その『けーき』ってやつの準備しろ。あとは俺がやっといてやる。」
頷いて、卵と小麦粉と牛乳を混ぜたものの中に、少しずつメレンゲを入れて、さっくりと混ぜていると
「何か手伝うことあるか?」
厨の入口に、秀吉、香菜、家康が立っていた。
「わぁ~♡すご~い♡」
「……これ、二人で作ったの?」
台の上には、政宗と陽菜が作った、お肉と飾り切りした根菜の煮物、鮭の南蛮漬け、鱈のソテー、シチュー、ほうれん草のお浸し、漬け物が並んでいた。
「うん。あとはチキンとケーキを作ったら完成だよ。」
ケーキの生地を鍋に流し入れて、蓋をして蒸していく。
オーブンがないから、チキンとケーキが完成するか、かなり不安な陽菜。
チキンは、一度火に近付け焼き色をつけ、味付けをしてから、火を弱くして蒸し焼きにした。
時間がかかると思い、最初に取りかかったが、そろそろ出来ているだろう。
そっと蓋を開けると、ふわ~と美味しい匂いが厨中に広がる。
「おっ。いい匂いじゃねぇか。」
「ほんと♡美味しそ~~♡」
熱くて危ないからと、政宗が取り出してお皿に乗せる。
「これが『ちきん』?」
「うん!無事に成功して良かった~」
現代のものと、少し違うが、ホワホワと湯気をたてて、美味しそうな匂いも運んでくれる。
無事に完成して陽菜は胸を撫で下ろした。
「『ちきん』も出来上がったし、徐々に運んでいくか。お前ら手伝え。」
「あ、じゃあ私、片付けしながらケーキの様子見とくね。」
「おう。頼んだ。」
そう言って、政宗、秀吉、香菜は次々と料理を運んでいった。家康も料理を運ぼうとしたとき、陽菜の頬に何か付いているのが見え、料理を置き、陽菜の頬に触れる。