第3章 戦国時代のX'mas ~準備編~
「(陽菜ならどれも似合うだろうけど………何か特別なものをあげたいし……)」
あれだけ楽しそうに、クリスマスパーティーのことを話す陽菜の姿に、陽菜達の時代では、クリスマスはとても大事な日なのではないかと、家康は考えていた。
自分のために、平和な世から、危険が絶えない乱世に戻ってきた陽菜のために、忘れることのない贈り物を家康はしたかったのだ。
「(……でも、何も思い浮かばないんだよな……)」
特別なものを贈りたい気持ちはあるが、どういうのが特別なのか……何も思い浮かばない。
他の店にも、何かあるかもしれない。と思い、家康は店を出ようとした瞬間、ある物に目が止まる。
しばらくそれをジッと見て、あることを思いつき、店主に声をかけた。
「じゃあ、よろしく頼む。」
「はい。お日にち少し頂きますが…半月ほどで完成すると思います。」
「なら半月後にまた来る。」
そして、半月後の今日、頼んでいたものを取りにきたのだった。
お会計を済まし、店主から商品を受けとる。
「また、何かあったらお願いするよ」
「ありがとうございます。」
深々と頭を下げる店主に背を向け、家康は御殿へと帰っていった。
陽菜が喜ぶ姿を想像し、ほんの少しだけ頬が緩んで……。
陽菜への贈り物:用意済み