第3章 戦国時代のX'mas ~準備編~
「……邪魔するよ…」
「家康様!お待ちしておりました!今、頼まれていたお品を持ってまいります。」
御殿への帰り道。
城下のある店に、足を止め家康は店頭にいた店主に声をかけると、すぐに店主が接客に応じた。
店主は奥から木箱を持ってきて家康に渡すと、家康は蓋を開けて中を確認した途端、目を見開き、息をこぼす。
「……想像以上の出来だね…」
「ありがとうございます。そう言っていただけると、職人も喜びます。」
今、お包みします。と言う店主の声に、木箱を渡して、包んでもらう。
「(いいものが用意できて良かった…)」
家康は小さく安堵の息をこぼした。
半月前に香菜から、クリスマスプレゼントの話を聞き、その日の帰り道に城下に寄って、陽菜へのクリスマスプレゼントを探していたが、そんなに物欲がない陽菜に、何を贈っていいのかがわからなかった家康。
香菜は、気持ちだ。って言っていたし、陽菜の性格上、贈ろうとした気持ちを喜んでくれるのは、想像できたが、だからと言って変なものは贈れない。
家康は、女物が売っている店を見つけては、店先のものをチラリと見て、陽菜に似合いそうなものを探していた。