第3章 戦国時代のX'mas ~準備編~
クリスマスの準備をしながら、合間に陽菜は、家康へのプレゼントを縫っていた。
「ここを、真っ直ぐに縫って………」
「………こう?」
「そうそう。」
大の苦手な裁縫。お姉ちゃんの指導を受けながら、一針、一針、丁寧に縫っていく。
「今日は、袖と身ごろを合わせるよ。まち針で固定して………」
「ここを、固定と…………こんな感じ?」
「ちょっとっ!それだと左右で袖の長さ違うから!ちゃんと左右で合わせて……そうそう。」
姉の厳しい指摘にもヘコたれず、家康に喜んでもらいたい。その一心と気持ちを込めて、毎日、空き時間に作業して、針を進める。
「えっ?それ、もう一回!ゆっくりと…」
「いい?ここをこうやって………」
「…えっと、……ここを……痛っ……うぅ…こう?……」
「うん。上手、上手。」
何度も針を指に刺し、失敗すれば何度も縫い直す。ゆっくりだけど、着実に完成に近づいていた。
そして
「で………出来た!!」
完成したものを広げてみる。
金色に近い黄色の生地に、裾と袂のところに黒の葉、その上に白い梅の花を少し刺繍した。
お姉ちゃんに渡して、変なところがないか確認してもらう。
「……衿と袖口は……OK。袖と身ごろの縫い付けも……大丈夫ね。刺繍も上手に出来てるし…。……陽菜、大丈夫!バッチリ出来てるよ!」
「!!本当!?やったぁーー♪」
嬉しすぎて脱力し、その場に倒れこむ。
「よく頑張ったね!家康さんも喜んでくれるよ!」
そう言って、微笑んでくれるお姉ちゃん。
早く当日になって、家康の喜んだ顔がみたい。
クリスマスパーティーまで、あと数日。
そして、家康へのプレゼント、無事に完成。