第3章 戦国時代のX'mas ~準備編~
翌日、城に設けられた家康の部屋に、姉は向かっていた。
その途中でバッタリ家康に出会う。
「あ、家康さん。ちょうど良かった。羽織の修繕終わりましたよ。」
「あぁ…どうも。珍しいね。あんたが届けるの。」
新たに作った羽織などの場合は、丈などの確認をするため、香菜が持ってくるが、修繕だけなら、家康の恋人の陽菜に持たせている。
針子の仕事が忙しいのもあるが、少しでも恋人と過ごせるようにという、姉なりの配慮なのだ。
むしろ後者が八割ほど占めているが……
「今日は家康さんにお話があって。クリスマスプレゼントの件で。」
「心配しなくても、誰が当たってもいいようなもの用意するけど。」
「いえ、そっちじゃなくて。」
「???」
話が見えず、怪訝な顔の家康。香菜がニコニコと話し始める。
「私達の時代では、恋人がいる子は、恋人同士でプレゼント交換するのが主流なんです。」
「……そうなの?」
「はい。別に陽菜は、プレゼントが絶対欲しい。って思ってないですけど、クリスマスのことを知らない家康さんが、陽菜のために用意した。って知ったら、あの子すごく喜ぶと思うんです。物より気持ちですね。」
そう言われて陽菜の喜ぶ姿を思い浮かべる家康……
『家康、ありがとう!!すごい嬉しい!!』
「(可愛い……)」
喜ぶ姿に、頬が緩みそうになるが、香菜がいるため、必死に堪える。
「…わかった。何か考えておく」
「はい!パーティーのあとは、ぜひ二人で熱い夜を♡」
手を口にあて、クスクス笑う香菜に、家康も負けじと反撃。
「あんたも秀吉さんとお熱い夜を。」
「なっ!?///」
それだけ言って、家康は部屋へと向かった。
残された香菜は、顔の赤みが引くまで、その場を動けなかった。