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花の詠【ONE PIECE】

第5章  カ タ チ






「今後チエに見張りを付ける。マルコ、人選は任せた」

「了解したよい」


「そんなんでいいのか、親父!」


異論を唱えたのはティーチとそのほか何名かのクルーだった


コイツは何かを隠している、海兵など海に捨て置け、などと次々に口にする。白ひげは黙ってそれを聞いていた



『不満ならお前が見張りをすればいい。1人では怖いと言うなら縄で縛ったっていいんだぞ』


不毛な言い争いとわかっていながら、先日の件を水に流せるほど大人じゃない


「けっ、いつでも抜けられるんだろ。嫌味な女だぜ」


『先程も言ったが私に特別な力はない。火事場の馬鹿力だとしても、この骨折した体であの縄は千切れない。』


ティーチたちの証言では、私は縄を切って抜け出したことになるが、ナイフ等の刃物は既に没収されている。私があの時も今もそれを持っていないのは明らかだった

関節を外すことは出来ても、あの体勢で縄を綺麗に切ることなんて出来っこない。


証言が嘘か本当か、定かではない



「いい加減にしろ!」

「お前らもだ!」

「親父の話をちゃんと聞けよい!」


隊長たちが私達の間に割って入ると、クルーたちを宥めた。
私に対してティーチは異様なねちっこさを見せた。普段はガサツで、キレやすく、細かいことはよく忘れる熊のような男だと聞いている


何故私に執着する?



「この件は不問とする。これ以上詮索しねェこったァ」

「ティーチ!親父はお前らのやった事を見逃すと言ってんだ!感謝してこれ以上チエにちょっかい出すんじゃねェよい!」

マルコがティーチに向かってそう叫ぶと、奴は両手を上げて肩を竦めてみせた


「マルコ隊長人聞きが悪ぃなァ!俺らは飽くまでこの海兵が怪しいと思ったから取り調べただけだぜィ?何も悪いことなんてしちゃいねェさ…」

ギラつく眼光は、マルコにではなく明らかにチエに向けられていた



「なら今後、その"取り調べ"とやらがないといいんだがな」


その鋭い眼光の矛先を遮るように、イゾウとジョズが私の前に踏み出した

大柄なジョズが前に立てば私はすっかり視界を塞がれる。



「ハッ、精々寝首をかかれねェこったァ!」



私を守るような隊長たちの態度が気に入らないと言わんばかりに、定番の捨て台詞を吐いて、集まりは解散となった
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