第2章 名前
准尉となり、今までよりも多くの部下を持つことになった
今までずっと一緒だった班は変わらなかったのでよかったと思っている。少しでも信頼出来る仲間が多い方がいいに決まっている
廊下の掲示板の所に何やら人が群がっていた
そこには私の班のガシュトルとナナハもいて、二人がこちらに気づくと軽く敬礼をした
「これ、なんの騒ぎ?」
「ルーキーですよ。なんでも七武海の勧誘を蹴ったとか」
『七武海を?』
焼いたアーモンドのような髪色のガシュトル。性別男。我が班の中でもしっかり者で面倒見のいい兄貴肌。
私より3つつ年上。
「それが随分な若船長でこれまた顔が良いんですよ」
そしてお転婆でショートカットのナナハ。お調子者という点無ければ、桃色の天パが可愛い女の子なのだが…
どうにも私には猿にしか見えん。
『口を慎め。にしても七武海入りを蹴るとは、一体どんな世間知らず……』
「んもー、たいちょーはお堅いんだから〜。ほんの冗談ですよ、冗談」
人混みを掻き分けて掲示板の正面まできたとき、私は言葉を失った。
記事の中央を占めるのは、見覚えがありすぎる好戦的な笑みを浮かべた……
『……えー、す』
う、そ…なにかの間違いではなくて?
何がなんでも早すぎる、だって名を上げたのだってついこの間……
「隊長…?」
「あらあら、もしかして惚れちゃいましたか〜〜?」
「おいっ、ナナハ!」
これは惚れるどころの話ではない
まさかこんなに早く、しかも七武海に勧誘されて、それを蹴るなんて
記事の日付からすると、もう新世界に入ったのだろうけど、それにしてもルーキーに持ちかける話じゃない。懸賞金だってそこいらの海賊よりも高い。
でも…アイツはちゃんと生きてた。仲間もこんなに出来て……
『部屋に戻る』
踵を返し、ツカツカと再び帰路を急ぐ
「お前があんな失礼なこと言うから隊長不機嫌になってしまったぞ。ちゃんと謝ってこい」
「えー!私のせいなの!?第一ガシュトルが隊長にヘコヘコしすぎなのよ。私たちより年下よ?」
「でも階級は三つも上だ」
何も言い返せなくなったのかナナハもフンっとそっぽを向いてどこかへ行ってしまった。