第8章 Pandora
────時は少し前に遡る。
まだガープがエースを探して、航海している頃、同時刻別の海域での出来事
*
『…………っ、、』
ぐわんぐわんと、揺さぶられる感覚にチエの意識は覚醒する。
まだまぶたの開かぬうちに、先に目覚めた意識がベッドの上ではないことを理解した
(あ、れ……)
見開いた光景は確かにベッドの上ではなく、潮の匂いが染み付いた床板の上
体が固まっているような感覚
動かそうとしても、まず手足が動かない
(拘束されている、、)
そこでようやくはっとした。
自分は昨夜、誰かに口元を押さえつけられた気がする
随分と気分の良くない夢を見たと思っていたが、もしかしたら本当に誰かに襲われ、ここへ攫われたのかもしれない
自ら移動した記憶はない
誰かに連れ去られたとしたら、誰
「目が覚めたようだな」
『っ!!』
視界に映った革靴と聞き覚えのある声に、目を見張った。
『センゴク、元帥……』
ゆっくり顔を上げ、状態を起こした先には、軍のトップである元帥の姿があった
私は手足を拘束され、床に伏している。
そして目の前に現れたのは、海軍本部元帥……
これだけの情報で、チエは予期した。
自分は、死ぬんだと