第1章 元凶
白く燃える火の玉が辺りを赤くさせながら海に沈んでいく…
初夏の青草の匂い…雨上がりの柔らかい土、夕日に照らされたオレンジ色の花々
全て鮮明に焼き付いた"あの"光景
──ねぇ、エース…好きよ、大好き…。お願い、私も…一緒に………
「ダメだ。…お前はか弱い女なんだから…一緒には連れていけねェ。その代わり俺が強くなったら迎えに来るから…それまでここで…待っててくれ」
エースの真剣な顔が今でも思い浮かぶ
貴方は私を守るためだと言った
私だって貴方を守りたいのに…
どうして……っ
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…………ッ、ピピッ、ピピッ、ピピッ!
『ッ!』
ガバリと布団を退けながら飛び起きる。
アラームを止めて時間を確認すると早朝4時30分を過ぎていた
額にはこれでもかと汗をかき、目尻には汗とは違う液体が付いていた
思わず溜息が漏れる
これで何度目か…あの日の夢を見るのは
エースが17になり、海へ出る日の前日のことだ。私を置いて行ってしまったエース。今、どこで何をしているのかその行方は知れず…
あの日彼は私に待てと言った。
でも私は『女だから』を理由に置いていかれたことが心底頭にきて、ガープに「海軍に入れてくれ」と強引に頼んだ
何とか承諾を得て、私も海軍へ入隊した
エースが島を出て、少し経った頃のことだ
そして今日は昇格試験の日。
4時半に目覚めて朝練の予定が、朝風呂へと変更になった
まぁ、いい。昇格試験と言っても准将への昇格するための試験。難易度はそんなに高くない。
試験はその程度にとどめシャワーを浴びた