第6章 悪夢の後日談
※R15
全く動けない状況に、ゾッとする。
優しくされていただけで、実際には話にならないくらい、力の差がある。
私を絞め殺す、頸動脈を噛み切る、意のままに組み敷き犯し尽くす。
この人がその気になれば、そのどれもが容易く出来るのだ。
恐怖が抵抗を止めさせた。
「良い子だ……カイナ……そして怖がらせて、すまない」
クラウスさんはいたわるように私の髪を撫で、さっき噛んだところに優しく口づけた。
ただ上半身の行動と裏腹に、下半身は硬くなっている。
握らされた私の手に汁がだらだらとこぼれているが……。
「カイナ……!」
そしてガシッと、再度私の身体を抱きすくめ、腰を激しく動かしてくる。
ギシギシと、ベッドが揺れた。
「……っ……カイナ……私の……っ……」
「――……っ……」
クラウスさんの手が私の股間に分け入る。
大きな指がすでに濡れそぼった場所を荒くかき乱し、一番感じる場所を乱暴に責め立てる。
「…………っ……」
身体のどこもかしこも熱い。欲しい。指じゃ無くて、もっと……欲しい……。
けどそれは許されなかった。
「無理はさせたくない。今宵は、このあたりで……」
耳朶に口づけられ、太い腕に抱きしめられる。
腰の動きが速くなった。
ペニスが腿と性器を擦る音。衣擦れの音。私の奥深くをかき乱す淫猥な音。
「カイナ……私の……愛しい天使…………」
天使とは程遠い、発情した私に触れ、全身を荒々しくまさぐってくる。
でも私も、もう指の刺激だけで限界だった。
そして――。
「……――――っ……」
「…………はぁ、はぁ……」
私は無言で達し、クラウスさんもシーツに白濁した物を放つ。
そして沈黙。
呼吸を整える音と、気だるく生温かい空気だけが漂っていた。
でもクラウスさんが私の手に触れる。
ためらいがちに握ると、力強く握り返してくる。
それだけで全身が安堵で、力が抜けた。
眠い……。
そのときクラウスさんが起き上がる音がした。
寝ているフリをした手前、どうしようかと戸惑ったが、
「後始末は私が。君は休んでいてくれたまえ」
そう言われたので目を閉じた。
思ったよりも迅速に、眠りは訪れた。
その夜はそれで終わったのだった。