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【血界戦線】紳士と紅茶を

第6章 悪夢の後日談


※ここから本編後の後日談。シリアス要素0の馬鹿話です。



■隠した話




 その悪夢は、ある日突然始まった。

 そのとき、私はヘルサレムズ・ロットにあるブラッドベリ中央病院。

「カイナさん、診察室にお入り下さい」
「はい!」

 呼び出しの放送につい返事をしつつ、待合室のソファから立ち上がる。

 今、私は休暇をいただき、検査のためにここに来ていた。
 ……というか休暇でなくとも戦闘で使い物にならない状態だった。

「カイナ・シノミヤさん。お座り下さい」
「は、はい」

 今、各種検査を終え、ルシアナ・エステヴェス女医から結果を告げられるところだ。

 椅子に座り、各種計器や病院のパソコンを横目に、どんな告知があるのかとドキドキしながら待った。

「カイナさん。『符術』が使えないとのことで、検査を受けにきたんですね」
 カルテを見ながら、クールビューティーな眼鏡の女医先生が確認する。

「そうです。先日の魔導生物との戦闘の後、急に何も出来なくなっちゃって」


 先日、私含めたライブラの面々は、どっかの異界からわき出た面倒な敵と戦った。

 ホントに面倒だった。個体個体は弱いのだが、負けそうになるとその場で交尾、出産、幼体は瞬時に成長……という手のかかる敵だった。
 ……ついでに死闘をしてる真横で次々に交尾されるという、精神的苦痛もかなりの敵だった。

 それはさておき、私はそのとき、敵の毒針を受けた。

 それから私はパッタリと自分の魔術を使えなくなってしまった。

「他には一切異常がないんですが、術だけが使えなくて……」

 戦闘力も、やっと皆に認めてもらえるようになった。
 ついにライブラの一員として胸を張れるようになったというのに。
 これじゃ、以前と同じただの一般人だ。

 もしかして、一生使えないままだったらどうしよう、とガクブル物だった。

 緊張する私の前で、ルシアナ女医は眼鏡をかけなおした。

「カイナさん。ぶしつけな質問をいくつかさせていただきます」
「え? は、はい。どうぞ」
「つきあっている男性はいらっしゃいますか?」
「はい。います」

 赤毛のでっかいクマさんを思い浮かべる。

「それが何か?」

「さらにぶしつけなことをお聞きします。
 その方は――性欲が強いですか?」

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