第5章 終局
そして日々は緩やかに流れ……ついにこの時が来たっ!!
場所はヘルサレムズ・ロットの一画。
道端でガクブルってる私に、通信機からクラウスさんの声が聞こえた。
「カイナ! そっちに行く!! 事前の手はず通りに頼む!」
「は。はい!!」
大丈夫。やれば出来る!!
私は集中し、頭の中で術式を組み上げた。
「うおおおお!!」
瞬間、ストリートの角を曲がり、武器を抱えた凶暴な異界人が私の前に迫ってきた! 私を見るなり、
「どけ、クソガキ! ぶち殺すぞ!!」
チェーンソー振り上げてきた!!
ぶち殺すぞってか、完全に殺す気である!
だが彼らのチェーンソーが私をざっくざくに切り刻む前に、
「――――っ!!」
「な、何だ!? うわああ!」
私の手から発生した水流が、みるみるうちに巨大な濁流となり、あっという間に彼らを呑み込んで流してしまったのだ。
私は式を組み替え、水の流れをねじ曲げた。
水は蛇のようにうねり、彼らに抵抗させる間もなく、別の通りへ流していった。
ほどなくして、水の去った方向から爆音が聞こえた。
成功したのだ。
「やった!」
逃走する犯人を足止めし、クラウスさんたちのいる場所まで誘導すること。それが私の役目だった。
いわゆる初陣だが、どうにかお役に立てたらしい。
ホッとすると同時に誇らしいものが胸にこみ上げた。
皆の役に立てたんだ!
…………
そして戦闘が終わり、私は皆と合流した。
ザップさんが笑って私の背を叩く。
「やったな、チビ。初戦にしちゃ上出来じゃねえか!」
「素晴らしい。周囲への被害を最小限に食い止め、かつ目的の場所に正確に水流を導いた」
「僕との合わせ技の実験も、上々だよ。まとまった水分があらかじめ用意されていると、やりやすいね」
クラウスさんとスティーブンさんも褒めてくれる。
チェインさんもフッと空中から姿を見せる。
「よくやったね。カイナ。直前まで技を出さないから、見ててハラハラしたよ」
チェインさんを、万が一のための護衛につけたのは、ちょっと止めてほしいんだけど。
半人前扱い、情けなや。
だがしかし、私の初戦には問題が一つあった。
口を開いたのはザップさんである。
「ところで、チビ」
ほーら来た!