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【血界戦線】紳士と紅茶を

第4章 異変



「クラウスさん! 人界の救い手たるあなたにこんな外道な真似が出来るなんて! 見損ないました!」
「どうか許してくれたまえ。君の安全のためだ」

 よしよしと、知能指数の下がった私を撫でるクラウスさん。私のまぶたに軽くキスをした。

「君は本当にコタツが好きなようだな。生活家電に嫉妬をする事態は想定しなかった」
 とか何とか会話しつつ、ベッドルームについた。
 私はそっとベッドに下ろされ、毛布を解かれる。
「…………」
 クラウスさんが私の両サイドに手をつき、ギシッとベッドが揺れた。
 私は冷や汗を流し、チラッと時計を見た。
 や、やっぱりかなり遅い。やー、その、嫌なワケじゃないんだけど。

 ちょっと怖いとか、無いから。無いからね!?

「カイナ。どうか怖がらないでくれたまえ」
 考えを読んだように私を上向かせ、クラウスさんがキスをしてくる。
「んん……」
 怖がってないし! 
 でも私をなだめるように、触れるだけのキスを何度もされた。
 実際、私をハグしたり、頭や背を軽く撫でたりするけど、それ以上のことはされない。
 そうやって丁寧に触れられ、いつの間にか緊張感は完全に解けていた。

 ……すなわち完全に眠くなった。

 クラウスさんは私の力が抜けたのを見て、ネクタイと上着だけ脱ぎ、私の隣に横になる。
 とろんとして、半分寝ている私を愛おしそうに見、もう一度キス。
「本当に可愛らしい……」
 私の髪を撫で、独り言のように言いルームランプを消す。

 私を抱きまくらのごとく、ギュッと抱きしめた。

 私は幻聴でも聞いたかな?と思いながら、クラウスさんの腕を枕に寝に入った。

 …………

 …………

 クラウスさんの腕をはらい、ガバッと起き上がり、部屋の明かりをつけた。
「…………カイナ」
 彼はものすごくすまなそうに、私を見上げていた。
「すまない。無意識で……。気の緩みが出てしまったようだ」
「いえクラウスさんも(一応)人間なんだし、二十四時間、気を張り詰めてらっしゃることはないかと……ですが!」

 私はそっと服を直した。
 前は完全にはだけられ、ズボンと下着は膝まで下ろされてた。

「無意識に手が出るくらい我慢してたなら、一言仰って下さい」

「……返す言葉もない」

 しょぼーんとしたクラウスさんは、何やら大型のヒグマを連想させた。
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