第1章 出逢い
そのとき私は、教会の庭にいた。
教会。ヘルサレムズ・ロットの一角にある教会である。
私は風に髪をなびかせ、ぼんやりと壊れかけた教会を見上げる。
はるか上空、霧の下を、名前の分からない巨大生物が飛んでいく。
「うーん……」
私ことカイナ、ガレキにもたれ、考える。
どうしたもんか。
さっき吹っ飛んできたガレキで、教会が半壊してしまった。
そのとき教会にいた『組織』の残存メンバー六人もろとも巻き込んで。
『組織』って何かって? 残存メンバーって?
てか誰だよおまえって?
まあそんなこと、今はどうでもいいでしょう。後々話すので。
とにかく、この教会に残ったのは、平凡な少女、私一人だ。
一人ぼっちになってしまった。
チラッと後ろを振り返れば、夢ではなく半壊の教会。
半壊というか崩壊寸前。
私の本当の故郷――日本なら即座に退避勧告が為されるレベルだ。
これからどうするよ。
そう思いながら呆然とガレキにもたれている。
そのとき、誰かがガレキを踏む音が聞こえた。