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Love Distorted 【気象系BL】

第4章 愛のTABOO




梯子を登って、給水タンクの上に行くと…。

翔「待ってましたよ、センセイ?」

「な、んでここに…」

僕のお気に入りの場所に、櫻井が胡座をかいて
我が物顔でこちらに笑顔を向けた。

翔「酷いな…貴方と俺が会った初めての場所でしょ?」

「初めての場所…」

櫻井にそう言われて、僕は自分の記憶を辿る。
確か…入学式の日にもここで誰かに会ったような。

滅多に人が来ないから選んだこの場所で、
あの時1度だけ出逢った人がいた。

それが、櫻井だって言うのか…?
あの時はものの数秒しか相手を見ていないから、覚えてない。

「よく思い出せない…」

翔「そんな事はもう良いんですよ、こうして逢えてるから」

「そう、だな…」

翔「ほら、隣に来てくださいよ…」

そう言って櫻井から手を差し伸べられる。
昨日、交際しようと言ったのは僕だ。

でも、こんなにも早く距離を縮めても良いのか…?あくまでも僕と彼は、教師と生徒の関係なのに。

翔「何を迷ってるんですか? 付き合おうと言い出したのはセンセイですよ」

櫻井から後を押される様な言葉を言われて、
僕は差し伸べられた手に自分の手を重ねた。

…いや、非常にまずい気がする。
何か自分の思ってもいないような事が起きるような。

翔「それ、食べないんですか?」

「食べるよ…だから邪魔しないでくれよ?」

翔「ハイハイ、分かりましたよ」

僕はメロンパンの袋を開けて、一口齧り付いた。
口の中いっぱいに広がる甘い味…。

「美味い…」

翔「口の端、付いてますよ」

隣で僕の食べている所を見ていたらしい櫻井が、微笑みながら僕にそう言った。

翔「取ってあげますね…」

手が頬に伸びてくるのかと思いきや…。

「ん、っ…!?」

翔「本当だ…甘くて美味しい♪」

「な、なにして…っ、」

翔「ごめんなさい、センセイ…足りないみたいです」

「え、っん、んふっ、ぅ…んっ、」

僕は両手でメロンパンを握ったまま、
櫻井からのキスに翻弄されていた。

メロンパンよりも甘くて、大人なキスに…。
















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