第3章 禁断の果実
【 Satoshi 】
あれから一ヶ月、か…。
ここ最近色々と順調に進み過ぎて、何だか嫌な予感がする。
嫌な予感と言っても、幸せ過ぎて怖い
っていうだけかも知んないけど。
「はぁ…」
雅「なに、なんか悩んでんの?」
「いや、悩んでるっていうか…幸せすぎて怖い」
雅「…んだよ、あんまり惚気んなよな」
「なっ…! 惚気けてなんか…っ、」
俺と相葉は、トラックに荷物を運び入れながら
そんなくだらない話をしていた。
ふと目に入れた時計を見やると、もうすぐ約束の時間…。
「あ〜、早く終わらせねぇと…」
雅「おーおー、頑張れ頑張れ」
他人事のような口調で、そう言うと相葉は
自分のペースを保ちながら作業を続けた。
俺は、相葉の事なんて気にせずに早く終わらせられるように1人で殆どの荷物を運び入れた。
それが終われば、すぐに帰り支度を済ませ
待ち合わせのホテルへと向かった。
街中のよくあるラブホテルのような所じゃなくて
潤さんらしく、いかにも高級そうなホテル…。
こんな所で、あれをする…とか、あんまり考えない方が良いな。なんか変に緊張する…。
いつもは俺の家だったからな…今日は大事な話があるとか言っていたけど、一体どんな話なんだろう。
少しの期待と、不安を抱えながら
広い綺麗なホテルのロビーで潤さんが来るのを待っていた。
俺がホテルに到着してから、ほんの数分。
俺の視界の端に潤さんの姿が映った。
ソファから、立ち上がってホテルの入口を
見た時俺は…全身から血の気が引いていくのが分かった。
…ここが入口から1番遠くて助かった。
俺は、すぐにソファに座り直すと身を伏せるようにして膝に両肘を置いた。
「…ど、うしてここに、奥さんが…」
何故かは分からないけど、身体中から震えがする。
なにかが俺に警鐘を鳴らすように…。
俺は一体どうしたらいい?