第3章 禁断の果実
初めて身体を繋げてから一ヶ月の時が過ぎた。
その一ヶ月の間にも、定期的に智と連絡を取り逢瀬を重ねた。
智は身体を重ねる度に、色っぽくなって
初めてあった時よりも大人らしく、妖艶に変わった。
そんな智の魅力に飽きるどころか、
どんどんとはまってしまう始末…。
この日も智とホテルで会う約束をしていた為
朝から浮き足立っていた。
『あら、もうお仕事に行くの?』
スーツのネクタイを正しながら、リビングへ
顔を出すと妻が朝食をテーブルに並べていた。
「ああ、そうなんだ…だからすまないが
ご飯は食べられない」
『そんなのは良いのよ、でも…ちょっと多くないかしら?』
「え…?」
妻が怪訝そうに俺を見上げてきた。
『最近帰りも遅いし、それに朝も早い…
そんなにお仕事が忙しいの?』
「ああ、そうだよ…今凄く大事な時期なんだ」
当たり障りのない返答をする。
朝が早いのは、智と会うために前乗りで仕事を終わらせる為。
もう妻にはなんの魅力も感じないんだ。
全ては智の為に…。
『そう…それなら仕方ないわね
くれぐれも身体には気を付けてね?』
「ありがとう…行ってくるよ」
『ええ、行ってらっしゃい』
そう言って妻に手を振って家を出た。
もう妻と別れる為の下準備は十分に出来ている。
後は、どのタイミングでそれを打ち明けるか、だ。
それに智には、話したいことがある。
今日それを告げるから、どんな顔をしてくれるのか楽しみだな。
そんな事を考えて、スキップしそうな勢いで
俺は、会社へ向かった。
誰よりも早く職場につき、パソコンを開く。
今日する予定だった仕事をさっさと終わらせる
頃には、丁度いい時間になった。
そこからは、同僚と会話をしたりランチしたり
いつものように過ごし、定時になればすぐさま会社を出た。
そしてその足でタクシーにのり、
約束していたホテルに向かった。
今日はどんな智に出逢えるだろう…。