第1章 嫉妬狂乱
【 Kazunari 】
「…ん、どこか行くの? 智…」
俺は、ふかふかなベッドの上で
ベッドの脇に立つ彼を見上げて呟いた。
智「もう、帰るよ…満足したでしょ?」
智とは幼い頃から知り合いで、今では
一緒に仕事をこなす仲間だ。
でも、最近少しだけその関係が変わってきた。
智は俺の『セフレ』って奴になった。
俺から声を掛けて、始めたんだ。
この関係を…。
俺は、ずっと前から智が…智だけが好き
なんだけど。
智はそうじゃないみたいなんだ。
「満足なんて…してないよ」
智「え、まだ足りないの…? ちょっとは
手加減してくれない? かずは、性欲が強いんだから」
そんな智の冷たい言い方に、胸の奥が
チクリと音を立てた。
智は、俺の願いを聞いてくれてるだけで
なんの感情も持ってない。
こうやって性欲を満たしたら、すぐに
どこかへ消えていく。
俺の身体は、智に抱かれた熱で
まだ熱いっていうのに。
「ごめん…また誘ってもいい?」
結局俺は、智には逆らえない。
彼が好きだし、愛しているから。
智「うん、まあ…時間があればね」
「分かった…じゃあ、また仕事でね」
智「ん、裸のまんまで寝るなよ?」
「うん…」
ぱたんという音がして間もなく、
俺の家は静かになった。
…裸のまんま寝て、風邪でもひいたら
少しは俺の事見てくれる?
そんな浅ましい考えをしながら、俺は
もう1度目を閉じた。