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12色のアイ

第8章 縄とナイフと血のキスを


頬に当たったのは百さんが持っていたナイフ。
思わず小さな悲鳴が零れた。
「も、もさ……」
「………して………」
百さんが何か呟く。
「どうして……言ってくれないんだ!!」
ビリリッ!という何か裂ける音がした。
さっきまで頬に添えてあったナイフはいつの間にか移動して、私の服を裂いていた。
「君だって、オレのこと好きでしょ!?ずっとオレのことを見てたじゃん……!気づかないとでも思ったの……!?」
「も……」
「オレだって、ずっと、ずっと、ずーーーーーっと君のこと見てたんだから。君の髪も、目も、鼻も、唇も、白い肌も、長い手脚も」
百さんの手が私の身体をなぞる。
「君の肌の下を通っている血液も、君の生を支えている臓器も、全てが愛おしい。ねぇ、オレに全部ちょうだい?君の心も、身体も、命も」
苦しそうな、それでいて愛しそうな顔で私を見つめる。
「愛してるんだ。一生閉じ込めてオレ以外に触れさせたくないくらい。今にも、君を殺してオレだけのものにしてしまいそうなくらい……!」
怖い……怖い、けど……
「ゎ……私も、好き、です……」
好きな気持ちは変わらない。
「ほんと……?嘘だったら、殺すよ?」
「うん……本当。一目惚れ……だったの」
「オ、オレも一目惚れだったんだよ……。ははっ、嬉しい。こんなに気持ちが満たされるなんて…閉じ込めてよかった……」
ギュッ、と抱きしめられる。
力が強くて少し痛いけど心地いい。
「百合……愛してる。愛してる。愛してる。百合が心も身体も命もオレにくれるなら、オレもオレの全てを百合にあげる……」
ありがとう。その言葉はキスで塞がれた。
何度も何度も角度を変えて降ってくるキスは、だんだんと深みを増していった。
「ん、んん……も、もさんっ……」
「百合……好き……」
もう百さんの手にはナイフは握られていなかった。
スルリと私の手を縛っていた縄が解かれる。
「百合……抱いていい?」
掠れた声で百さんが尋ねてくる。
大丈夫。私にはちゃんと分かってるよ。
聞いてきてくれても、答えは
「……はい」
しか選択肢が無いことを。
私の返事を聞くと、嬉しそうに私の身体の至る所に口づけをし始めた。
キスマークや噛み跡で私の身体がどんどん赤く染まっていく。
媚薬を飲まされていたせいか、痛みまでも快楽に変わっていくのを感じた。
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