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12色のアイ

第8章 縄とナイフと血のキスを


「一目惚れ」というものを24歳にして初めて体験した。
彼のみんなを惹きつけて止まない笑顔が頭に焼き付いて離れなかった。
「よろしくね!百合ちゃん!」
「は、はい!」
恋人になりたい、そう強く願った。
でも、相手は天下のRe:valeの百さん。
叶うはずもない。
私は、せめて彼の役に立ちたい…そう思って仕事を一生懸命した。
だから、ステージの相談をしたいなんて言われた時は嬉しかった。
頑張って百さんの納得のいくステージにしよう!……そう思ったのに。
「も、もさん……?薬……?」
「会議室でコーヒー渡したじゃん?あの中に睡眠薬と軽い痺れ薬入れといたんだよね。睡眠薬だけでいいかなって思ってたんだけど、もし暴れられたりしたら困るじゃん。百合ちゃんが」
「わ、私が……?」
「うん。だって、顔とか身体とかにおっきな傷、つけたくないでしょ?」
そういった百さんの手には鋭く光るナイフ。
「ね?大人しくしてくれるよね?」
今の百さんは笑ってはいるものの目は全く笑っていない。
怖い。
私は身の危険を感じ、小さく頷いた。
「ん。いい子。じゃあ、いい子にはご褒美をあげよう」
「え……んむっ!」
ご褒美って何?そう聞こうとしたら口を塞がれた。
少し開いた唇の隙間から、百さんの口を伝って液体が流れ込んでくる。
「ん……零しちゃダメだよ。ちゃんと飲んで?」
口が離れると、すかさず百さんの指で口を押さえられる。
私は戸惑いながらも口の中の物を飲み込んだ。
「も、百さん……さっきの何ですか……?」
「そのうち分かるよ」
そう言って不敵な笑みを浮かべる。
「そのうちって……え……う、そ…なに、これ……」
急に息が切れる。
身体は熱くなるし、奥の方が疼く。
こんな感覚知らない。
「や……も、もさ……」
「百合ちゃん、すごい可愛い。最高」
「ひぅ、あ、やだぁ……」
「大丈夫。百合ちゃんに飲ませたのはそういうお薬だから。ほら………オレが欲しいって言って?」
百さんが私の上に跨る。
私が飲まされたのは媚薬だったのかと朧げな頭で理解した。
「はぁ、は……い、や……」
私がそう言った途端、百さんが私の顎を力強く掴んだ。
痛みに顔をしかめると、私の熱い身体とは対照的な冷たいものが頬に当たった。
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