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12色のアイ

第28章 君の音に染められて


え、いや、んー?
ちょっと何が起こってる?
目の前にユキの良い顔があって、唇に何か柔らかいものが当たってる。
ん?んーーー???
「いや、まって」
「ん……?やっと自覚した?」
「いや、あんまり近づきすぎるとぼやけるから離れて」
「嘘だろ……?」
ユキの顔が少し青くなる。
顔色が悪くなっても顔が良いなんて流石だな。
「あのさ、今何されたか分かってる?」
「ん?何かあったっけ?」
「驚きすぎて記憶飛んでるのかな?」
「今日のユキはツッコミが多いね」
「君のせいでね」
ユキは大きなため息を一つ吐いた後、頭をガシガシとかいた。
「とにかく、これ」
「何これ」
「今日僕が泊まるホテルの部屋の鍵のスペア」
「は?こういうのはおかりんに渡すんじゃないの?」
「いや、まぁ、そうだね、TRIGGERに聞いてみなよ。きっと気づくから」
「はぁ……」
とりあえず鍵を受け取る。
気づくって何に……?
「ほら、行ってきたら?」
「うん……」
「20時に待ってるから」
ボソリ。耳元でいつもより低い声が聞こえた。


「———と言うことなんだけど、どう言うことだと思う?」
「は?いやそのままだろ」
「20時に部屋で待ってる?」
「いや、そうなんだけど」
「百合さん」
「何、天」
「この際だからはっきり言いますけど、ユキさん、貴女のこと好きですよ。恋愛感情で」
「は?私を?」
「はい」
「恋愛的な意味で?」
「はい」
「キスまでしたのに気づいてもらえないとなると流石に可哀想になってくるよ……」
「こんなに鈍い女居るんだな……」
「しかも百合さんも、ユキさん好きですよね」
「は……?」
「私が……ユキ、を、すき……」
すき、すき、好き?
私、ユキが好きなの……?
じゃあ、私、好きな人にキスされて、鍵渡されて、部屋で、待ってるって……。
「か、ぎ、返したら、まずい、かな……?」
「「「まずい」」」
「うそ……どうしよう……」
「腹括って行ってこいよ」
「そうだね。いつかは通る道だから、まぁ、どうにかなるよ」
「ま、まって、どうすればいいか、もうちょっと教えて」
「どうすれば良いかなんて、勝負下着つけてりゃいいだろ」
「しょ、うぶ、したぎ……?下着で勝敗が決まるの……?」
「はぁ?そこからかよ」
「良い曲作るからお願い」
「よっしゃ、任せろ」
「うちのリーダーちょろすぎない?」
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