第24章 最愛をアナタに
「美味しかったですか?」
「……うん。すごく、美味しかった」
「それは良かったです。アナタの為に予約した甲斐がありました」
そう言いながら優雅にワインを飲むナギを見る。
……嘘です、本当は味なんて全然分かんなかった。
高級そうなホテルでのディナー。
出された料理はどれも見た目からして美味しいのが分かる。
けど、味なんか感じてる暇無い。
これも全部ナギのせいだ。
ジト…とナギを見るも、王子様スマイルを返されてしまった。
うぅ……顔が良い……。
なんとかワインを飲み切り、気持ちを整える。
……結婚する前から何回も抱かれてきた。
私は男性経験なんか全然無くて、ナギに飽きられないように頑張ろうとか最初は思ってたけど、そんな事考えられなくなるくらいナギは愛を注いでくれた。
毎回毎回凄く気持ち良くて、頭がおかしくなってしまうのが怖い。
でも、求められるのが、嬉しい。
テーブルの上に置いた手に、ナギの大きな手が重ねられる。
「スイートルームを予約してあります」
指が絡められて、身体が跳ねる。
「行きましょうか」
私は、ただ頷くことしかできなかった。
「うぅぅ……」
ベッドの上で一人小さく唸る。
「シャワーも浴びた。全身くまなく洗った。歯磨きもした。トイレも行った。大丈夫、だいじょう、」
「何をしているのですか?」
「!?!?!?」
気づかなかった。
確認作業に夢中すぎて気づかなかった。
「百合?」
視界に映ったナギは、髪がほんのり濡れていて、バスローブの胸元から白い肌がいつもより多く見えて、凄く、色っぽくて…
「かっこい……」
ハッと気づいた時にはもう遅かった。
口を手で塞ぐも、ナギにはしっかり聞こえていたようでとろけるような笑みを浮かべている。
「そんなにワタシに抱かれるのが嬉しいですか?」
「あ、その、ちが、」
「違うのですか?」
「違くない!!」
今日は失言が多いな!私のバカ!
「あ、ねぇ、そういえばあのワンピースじゃ無くて良かったの?」
「……アナタがシャワーを浴びたいかと思ったのですが、その必要はありませんでしたか?」
「……………………必要です」
「ふふ。あれはただ恥ずかしがっているアナタを見たかったが故の発言です」
くぅ………この男は本当に恥ずかしい事をポンポンと言ってくれるな……。
やっぱりナギには敵わないや。
